Q.1 台湾は中国なのか?
A.1 台湾には「中華民国」という国家があり、中国ではない。中国と呼ばれる中国大陸にあるのは「中華人民共和国」で、中華民国とは異なる。ただし、台湾という定義が難しいだけでなく、外省人系台湾人の一部は自身を「中国人」と呼ぶこともある。また、夏期オリンピックやWBCなどでは中華民国ではなく英語表記の「チャイニーズ・タイペイ」とされることもあり、「チャイニーズ・タイペイ」とは「Chinese exile government in Taipei(台北に存在する中国亡命政府)」の略。
Q.2 台湾の公用語は台湾語?
A.2 公用語は中国語(北京音をベースとした北方方言)で、中国大陸と同じである。台湾語は台湾では公用語ではありませんが、主に本省人によって話されている台湾ネイティブの言語である。台湾語とはは福建省で話されている閩南語系統の言語であり、台湾で独自に発達したものである。また、客家系の人は客家語を話すが、近年では客家語を話せない客家の若者が増えていると言われている。
Q.3 台湾人はどうやって中国語と台湾語を使い分けているのか?
A.3 台湾では公教育の場や公的機関等では中国語が公用語として使用されている。また、出版物でも標識でも文字表記される言語はほぼすべて繁体字の中国語である。テレビではどんな番組でも中国大陸同様に原則として中国語の字幕が表示される。かといって、台湾語のメディアが全く存在しないというわけではなく、テレビ・ラジオには台湾語のものもある。台湾語は、台湾人全てが台湾語を話せるというわけではなく、概して本省人系の台湾人は基本的に台湾語を話すことも聞きとることもでき、外省人でも一部では聞き取りはできる。とはいえ、台湾語を理解できない本省人の若年者も増えていると言われている。1987年の戒厳令解除後の1996年の台湾初の総統選挙以降は、90年代中後半から公教育の場で郷土教育の一環として、公教育の現場で台湾語を教育する場が増えてきている。台北市内では街中で台湾語聞く機会は比較的少なく、本省人系の家庭内の使用が中心となっている(例えば、中国語での教育を受けていない高齢者とその子・孫との会話など)。一方で、台中・台南・高雄などでは街中でも聞ける場面が比較的多い。ちなみに、台北の地下鉄であるMRT(捷運)では車内アナウンスに中国語・台湾語・客家語・英語が使用されている。
Q.4 台湾の漢字はなぜ中国と違うの?
A.4 中国では識字率向上を目的として簡略化された漢字「簡体字」を使っているが、台湾では簡体字を使うことはなく、日本で戦前使用されていた旧字体とほぼ同じである「繁体字」を使用しているためである。香港・マカオ(澳門)でも繁体字を使用している。香港もマカオも元々はそれぞれ海外の植民地であり(香港=イギリス、マカオ=ポルトガル)、中国大陸の漢字の簡体字化政策の影響を受けることもなく、従来の繁体字を使い続けることができたためである。
Q.5 台湾の中国語と中国の中国語の違いはどれくらい?
A.5 単語の言い回しが若干異なる、理解できる程度のわずかな文法的な違いがある、特定の漢字音が別の音に変化する、といった特異点あるが、決定的な文法的差異や基礎語彙の違いがないために基本的に両者の意思疎通は問題なく行える。
Q.6 台湾では中国語を何と呼ぶの?
A.6 一般的には「國語」「中文」というように呼び、台湾独特の中国のニュアンスとなると「台灣國語」というような名称が与えられる。中国大陸で用いられる「漢語」「普通語」といった名称は一般的ではないものの、一応は通じる。反対に中国大陸でも「國語」は通じる。「華語」「中文」は中国大陸・台湾どちらでも通用する。
Q.6 ピンインって何?
A.6 簡単に言えば、漢字の読み仮名的なアルファベットのこと。中国大陸で漢字の簡体字化同様に識字率向上の為に普及が進み、現在では外国人の中国語学習にも使用されている。
Q.7 台湾ではピンインは使うの?
A.7 従来台湾ではアルファベットによる発音表記といえばウェード式(ウェード・ジャイルズ式)が一般的であり、ピンインはほとんど用いられることはなかったが(ピンインは主に90年代後半~2000年代に在台外国人が中国語教育の場で使うのが一般的であった)、2009年1月1日に公式にピンインを採用するようになった。
ただし、台北(Taipei)や高雄(Kaohsiung)のようなウェード式による地名表記や、基隆(Keelung)のような非北京語発音を元にした表記など、国際的に定着しているものについてはピンイン表記に切り替えず、ウェード式のままである。ピンインの代わりに、ひらがな的位置づけとして注音符号(通称「ボポモフォ」)があり、PCやスマートホンなどでの漢字入力はこの注音符号を用いるのが台湾では一般的である。