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巻き舌音(捲舌音)の消失
台湾だけではなく中国大陸南方に見られる現象で、ㄓ(zhi) ㄔ(chi) ㄕ(shi) の巻き舌音が消失して、それぞれㄗ(zi) ㄘ(ci) ㄙ(si)となり、ㄖ(ri)はㄗ(zi)もしくはㄌ(li)に変化する。
【例】
好吃(hǎochī:ハオチー)→(hǎocī:ハオツー)
日本(rìběn:リーベン)→(zìběn:ズーベン)または(lìběn:「巻き舌でない」リーベン)など
※ただし、発音表記の上では好吃は「ㄏㄠˇ ㄔ(hǎochī)」、日本は「ㄖˋ ㄆㄣˇ(rìběn)」のようにそのままである。
台湾人の話す中国語全てにおいて巻き舌音がなくなるというわけでなく、中には捲舌音で発音する話者もおり(特に外省人系の人など)、地域や環境などの条件が話者の巻き舌音の発音を決定づけている。とりわけ台湾語を話せる人に巻き舌音消失の傾向が見られる。近年では台湾語話者人口が減っていることも影響して、ㄖ(ri)→ㄗ(zi)よりもㄖ(ri)→ㄌㄧ(Li)への変化のほうが一般的のようである。
兒=ㄦ(er)音の使用頻度が低い
中国語学習者は学習の比較的初期の段階で必ず兒=ㄦ(er)音を習うが、台湾ではこの「ㄦ(er)」は中国(特に北京を中心とした北方地域)ほど強く発音はせず、なおかつ単語の語尾の「ㄦ(er)」化はあまり見られない。「二」「兒」「耳」のような漢字は軽く「ㄦ(er)」と発音するようなイメージで、北京方言ほど舌を巻いて発音はしない。前出の「巻き舌音の消失化」がここでも見られ、er(ㄦ)音はe(ㄜ)音に変化することが多い。
【例】
「二」の発音=「餓(è)」
「而」の発音=「額(é)」
語尾のㄦ化については、「玩兒」「這兒」「女孩兒」「鍋貼兒」などがあるものの、台湾では「通じなくはないが、一般的にはあまり使わない」扱いである。それぞれ、「玩」「這裡(這邊)」「女孩子」「鍋貼」というように語尾にer音を付けない、もしくは別の言い回しが一般的である。
軽声の消失
中国語(北京語)の声調は4つで、これ以外に声調を加えない音の「軽声」が存在する。しかし、台湾では軽声化せずに、元の漢字音のまま発音される傾向が強い。
【例】
「先生(~さん)」 中国大陸:xiān sheng → 台湾:xiān shēng
「關係(関係・コネ)」 中国大陸:guān xi → 台湾:guān xì
f(ㄈ)音のh(ㄏ)音への変化または混同
これも台湾語の影響とされ、台湾語にf(ㄈ)音が無いためにh(ㄏ)音に変化するとされている。また、混同されて両音の区別がないといった現象も存在す。
【例】
「發財(財を成す)」(ㄈㄚ ㄘㄞˊ:fā cái)→(ㄏㄨㄚ ㄘㄞˊ:huā cái)
「很高(とても高い)」(ㄏㄣˇ ㄏㄠˇ:hěn gǎo)→(ㄈㄣˇ ㄏㄠˇ:fěn gāo)
※很がㄈㄣˇ(fěn)音になることから、若者の間では同音の「粉」という字があてられることがある。
ㄥ(eng)音の(ong)音への変化
ㄅ(b)音・ㄆ(p)音・ㄇ(m)音・ㄈ(f)音・ㄨ(wu)音の後のㄥ(eng)音が(ong)音に変化することがある。
【例】
「朋」「ㄆㄥˊ:péng」→「póng」
「風」「ㄈㄥ:fēng」→「fōng」
ㄣ(en)音と ㄥ(eng)音の混同
(en)音と ㄥ(eng)音の区別が消失し、ㄥ(eng)音がㄣ(en)音に変化することがある。
【例】
「曾經(かつて)」(céng jīng)→(cén jīn)
ㄢ(an)音とㄤ(ang)音の混同
ㄢ(an)音とㄤ(ang)音の区別が消失し、ㄤ(ang)音がㄢ(an)音に変化することがある。
【例】
「幫忙(手伝う)」(bāng máng)→(bān mán)
一(yi)音とㄩ(yu)音の混同
一(yi)音とㄩ(yu)音の区別が消失し、ㄩ(yu)音が一(yi)音に変化することがある。
【例】
「去(行く)」(ㄑㄩˋ:qù)→(ㄑ一ˋ: qì=「企」)
ㄨ(wu)音への置換
ある特定の母音がㄨ(wu)音に置き換わることがある。
【例】
「你是誰?(あなたは誰ですか?)」(nǐ shì shuí)→(nǐ sù suí)
ㄨ(wu)音の消滅
ㄨ(wu)音を含む母音(二重母音)から、ㄨ(wu)音が消滅することがある。
【例】
「我(私)」(ㄨㄛˇ :wǒ)→(ǒ)
「有(有る)」(ㄧㄡˇ:yǒu)→(yǒ)
「國語(中国語)」(ㄍㄨㄛˊ ㄩˇ :guó yǔ)→(gó yǐ)
ㄋ(n)音とㄌ(L)音の混同
中国大陸南方でも見られる現象で、ㄋ(n)音とㄌ(L)音の区別がなくなる現象があります。
【例】
農(ㄋㄨㄥˊ:nóng)=(ㄌㄨㄥˊ:lóng=「龍」)
ㄩㄢ(yuan)の発音
「員」「院」「園」などの音であるㄩㄢ(yuan)は「ユアン」ではなく、「ユエン」と発音する。これは中国大陸にも見られる現象で特に若年層にこの傾向が強く、一般的に「ユアン」は年配者の発音とされる。